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神戸地方裁判所 昭和63年(フ)119号 決定 1989年1月09日

申立人 X

右代理人弁護士 池田隆行

右の者から破産の申立てがあったので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件申立てを棄却する。

理由

一件記録によれば、申立人(昭和三七年○月○日生)は、夫と子一人を有する主婦であるが、夫の破産(宣告は昭和六二年一一月二四日)の後、子を連れて実家に戻り、無職のまま両親の下に寄食していること、債権者は神戸殖産ことA一名のみであり、負債は元本一六〇万円であること、申立人は右の借金の後、一度も債権者に面会せず、雲隠れして債権者に居所を教えないまま、返済を全くしていないこと、そのため、債権者は、やむなく債権取立てのために申立人を捜して申立人の実家や夫の姉方を訪問したこと、申立人は、昭和六三年六月ころ、申立人代理人に、本件破産についての相談ないし依頼をしてから現在に至るまで、稼働するなどして右債務を少しでも返済しようとする努力をした形跡は全く見られないこと、債権者は、申立人の右債務不履行に立腹しながらも、申立人が債権者方を訪れ真摯な弁済計画の相談をするならば、利息の免除等の譲歩をしてもよいとの意向を有することが窺われ、すると、申立人は、子を託児所に預けて稼働し、その収入をもって右債務の分割払いに充てるべく誠意をもって債権者と交渉するならば、債権者も納得のうえの返済計画を作成のうえ、これを履行していくことは、申立人の年齢と稼働能力、債権者が唯一人であることとその負債額を考慮すると、十分実行可能であると推察され、以上によれば、本件申立てには、未だ破産原因があると認めることはできない。よって、主文のとおり決定する。

(裁判官 井上薫)

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